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日本とも深いつながり、天然資源豊かなブルネイ視察レポート

ブルネイ (スルターン・オマール・アリ・サイフディーン・モスク)


ブルネイと聞いてもどこにあるのかわからない方もいるのではないでしょうか?
ブルネイはボルネオ島北部に位置し、東マレーシアと隣接した王国です。
石油や天然ガスなどの豊富な天然資源で知られており、ASEANの一員です。

ASEAN加盟国での同国の特徴としては3つあり、
・人口が40万人
・1人当たりGDPが10,000米ドルを超える東南アジアでは数少ない国
 (その他は、シンガポール、マレーシア)
・国王による統治
が挙げられます。
この国もまたイスラム国家であり、約67%がイスラム教徒です。(そのほとんどがマレー系)


ブルネイ市内巨大市場を狙う方々にとって、同国はあまり視野に入っていないかもしれません。
国民の高所得にも関わらず少人口という条件は、外資や大企業の脅威から逃れることを踏まえると、中小企業にとっては狙いどころではないでしょうか。
そんなブルネイにはどんな特徴があるのか見ていきたいと思います。



1.ブルネイとは

ブルネイに来てまず驚くことはその表記です。道路標識、小売店の看板、新聞などいたるところにアラビア語が用いられています。
67%の国民はイスラム教徒のため、聖典を理解するためにアラビア語を学んでいるとされます。しかし日常的な会話は英語あるいはマレー語でなされます。このため視察中はマレー語を話せずとも、英語でインタビューをすることができました。

アラビア語で表記された建物アラビア語併記の交通標識


マレーシア、シンガポール向けの製品をほとんどそのままのパッケージでブルネイに輸出する、あるいはその逆に、ブルネイで流通させたものをそのままマレーシア、シンガポールに持っていくといったことも考えられます。インドネシア語は約7割がマレーシア語と共通しているため、同様のことがインドネシアでもできるかと思います。
国内のみでは大きなロットを確保できませんが、ブルネイは海外販路拡大への橋頭堡になるのではないでしょうか。

ASEANでおなじみのドラッグストアのガーディアン (ASEANでおなじみのドラッグストアのガーディアン)



2.ハラル環境について

2.-1 飲食

まず、ブルネイでレストランを訪ねて驚くことは、ハラル認証を持つ中華料理のレストランが多いということです。ちなみに、マレーシアのクアラルンプールでは、州内のかなりのレストランを回りましたが、ハラルを掲げるものは1軒に留まりました。

ハラルの中華レストランハラルの麻婆豆腐


中華というと豚肉を多用するイメージがあり、ハラルにするのであればコクのない味わいになるのではないかと気になります。しかし、他の種類の肉を使いながら、様々な調味料や材料を用いてもともとの味を再現しているためか、見た目と味にずれがなく、とても美味しかったです。日本食のハラル対応に悩んでいるようでしたら、視察に行って何軒かで食べて、ハラルの材料で代替して料理する感覚を試してみてはいかがでしょうか。

その他、イタリアンレストランがブルネイのハラル認証を掲げていました。残念ながら、日本食レストランをいくつか回った中では、ハラル認証は確認できませんでした。しかし、回転寿司チェーン、高級日本食料理店では多くのヒジャブ(イスラム教徒の女性が着けるスカーフ)を着けた方々でにぎわっていました。ハラル認証がなければムスリムの客が来ないとは必ずしも言えるわけではなく、ノーポーク、ノンアルコールが徹底されていればハラル認証がなくてもお客さんは来ているということが見て取れます。

ハラルのイタリア料理レストラン高級日本食料理店
KFCではハラルマーク付きのアイスが出されるなど、ハラルの食べ物は外資のレストランでも提供されています。


2.-2 小売り
ASEANの国々と同様に朝市が根付いており、多くの地元の方で活気づいていました。この国にはコンビニがなく、ふと何かを買おうとしたときに商店かデパートに行くより仕方がありませんでした。

中心市街の朝市現地の伝統食らしき食べ物
スーパーマーケットでは、様々な国から入ってきた幅広い食品のアイテムが見られ、人口の少ない国にしては驚くべき多様性を持っていました。あまり娯楽のようなサービスが発達していない分、食への関心が強いのでしょうか。製品の中には、パッケージに日本語を用いた非日系企業の製品もあったことは印象的で、日本語を使うことにブランド価値があると意識した企業の戦略であると思われます。お菓子、冷凍食品そして麺などハラルのものはたくさんありますがそのマークはステッカーで、パッケージに印刷されたものではありませんでした。これは、スーパーの惣菜にも貼られていました。ASEAN域内のスーパーの総菜売り場でよく見る寿司ですが、残念ながらここではパックにハラルマークがついていませんでした。

日本語表記の商品ブルネイハラルのシール付きの商品


3.「ブルネイハラル」ブランドとは

今回、ガ二ム・インターナショナル・フード社(以下、ガ二ム)のオフィスに伺ったところ快く出迎えてもらえました。日程の都合上、深くお話をすることができませんでしたが、同社について伺いました。
もともと、海外で書かれた文献、“ISLAMIC BRANDING AND MARKETING ”(邦語未訳)の7ページにわたるケーススタディで同社の「ブルネイハラル」ブランドを知ったのが注目のきっかけです。
同社は、マレーシアで行われたMIHASという同国最大のハラル食品の展示会で出展しており、参加者の目を引いたということです。実際に、このイベントで同社のブースに伺いましたが、いくつかの日系企業の方が相談に来ており、注目されている様子が見て取れました。

ブルネイハラルのマーク社内の展示物


ブルネイではマレーシアのように政府系機関がハラル認証を担っていますが、製品の製造が国内か国外かで2つに分かれます。

①国内製造の場合
ブルネイの宗教省が直接認証機能を担います。

②国外製造の場合
政府系のガニム・インターナショナル社が認証をします。
ここで、注目すべきは、ガ二ムの認証を取った場合に販路を確保できることです。もともとガ二ムは、英国に現地法人を持っており、ASEAN域内国にも関係先があることから、製造側は同社から販路開拓の支援を受けることができます。ハラル認証と認証済み製品を一挙に担う組織は世界を見ても例がなく、革新的な取り組みと言えます。

最初の50アイテムは2010年の6月3日にラマダンのハリラヤ・ハンパ(ラマダン時の贈りもの)に向けて発表されました。そして、現在、同社の認証商品は100アイテムを超えており、今後の拡大が期待されます。ガ二ムと組んで製品を海外に出して、アジアや英国の消費者に届けてみたいところですが、各国での販売実績や販売手数料など詳細に聞くことができなかったため、以後機会があればご紹介させて頂きます。

DSC_4466 (空港脇に建設中のモスク)




おわりに

特筆すべきは、
① ハラル中華
② 日本語製品
③ 販路確保の支援が受けられるブルネイハラル
の存在だとは思います。

なかでも、①の『ハラル中華』が日本食のハラル対応を進める上で見過ごしてはならないものと思います。自身の伝統食の壁を越えて外国の料理を食べることはASEAN域内の消費者の間でも広がっています。日本食は例外ではなく、視察中のインタビューでもブルネイ人が「美味しいハラルの日本食があったら是非食べたい」と寿司を食べながら言っていました。
このコメントの通り、まだ美味しいハラルの日本食料理店は、同国で足りていないようです。このような小国においても、市場の隙間にうまく入ることができれば、企業の大きさを問わずチャンスがあるように見えました。


(文:神奈川大学学部生、三代澤誠)

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