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マレーシアレポート Vol.5 イスラム教徒の衣服

昨年ハラル・ジャパン協会のインターンとして協会をサポートし、現在マレーシアに留学中の三代澤さんより、マレーシアににおけるムスリム(イスラム教徒)に関連するビジネス・生活環境についてお届します。テーマは大きく分けて3つの衣・食・住として、今回は「衣」についてご紹介します。





夜市でのバジュクロンの販売光景
(図1: 夜市でのバジュクロンの販売光景)

はじめに、マレーシアの人々について。マレー系と言われる元々同国にいた人々だけではなく、多くの人種が入り混じり多彩な文化が国の特徴になっています。”6:2:1:1”という比率は、この国において欠かせない数字です。マレー系は大多数の6割を占め、続く数字は華人系(2)、インド系(1)、その他(1)です。これは、近代的な洋服が一般化した現代でも首都・クアラルンプールの繁華街でも服装、容姿から分かるほどに民族の色が濃く残っております。イスラム教徒の多くはマレー系(華人系、インド系ムスリムも同国に見られる)であり、彼らの衣服と装飾からマレーシアのムスリム事情を見ていきたいと思います。



ヒジャブの陳列の様子ではまず、女性の服装について見ていきたいと思います。マレーシア・ブルネイ女性向けの伝統衣装はバジュクロン(マレー:Baju Kurung)です。特に、ラマダンの時期になると、町の屋台や、デパートの催事場などで見られます。
そして日本のテレビ番組で、訪日客の特集があると女性が様々な色をしたスカーフをまとっているのを目にするかと思います。これは、ヒジャブ(英名:Hijab)といい、近隣国ではインドネシア、その他、中国やアルジェリアなどでも見られます。

(⇐図2: ヒジャブの陳列の様子)


『nur』誌さて、ヒジャブはなぜ着用されているのでしょうか。モスクでガイドをされている方々へのインタビューからは、「このヒジャブといわれるスカーフの着用の理由は、宗教上身につけるべきものとされていることにあります。また、体中の手と顔以外は隠すという教えから来ている。」と仰っていました。常にヒジャブを身につけているわけではなく、家族一緒に家にいるときは外しているようですが、家にお客さんが見えたときには着用するそうです。
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ヒジャブの巻き方は一つではなく、とても多くのパターンで身につけられています。同時に、マレーシアのムスリマ(ムスリム女性)向け雑誌においては、『nur』といったものがあり、記事の中でいくつかのモデルを使った巻き方が紹介されています。ヒジャブの色や柄に関しては、多様性がありますが、色に関してこの色は使えないといった制約はないそうです。製造の過程で、ハラム(宗教上禁じられたもの)の混入・接触はもちろんあるべきではないとのこと。

 (⇒図3: 『nur』誌)


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(図4: スカーフ型のヒジャブ(右から3番目を除く))

ヒジャブの型は二つに分けられ、①一枚の布を巻いたもの(図4)、②縫われた形のもの(図7)となっています。①、②を着ける前には、下に薄手の布をつけていますが外見からそれらはあまりはっきりとは見えません。下につける布の色は単色のものがほとんどで、上につけるヒジャブと色を合わせるといったおしゃれとしての側面があるようです。また、材料によっては、汗の吸収という目的も果たされます。

①は、巻いたスカーフを留めるためのピンが必要となり、数か所で使うことではだけることを防いでいます。このピンはとても特徴的で、先端に飾りが付いたものが多くみられ、これがムスリム女性のおしゃれのポイントになっていると留学先のムスリマの友人が言っていました。

ヒジャブ下につける被り物(髪のボリュームを増すタイプのもの)
(図5: ヒジャブ下につける被り物(髪のボリュームを増すタイプのもの))

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(図6: ヒジャブのピンの販売の様子)


②は、そのまま帽子のように被ることができます。
(図7: ピンが不要なタイプ)
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malaysia_08続いて、男性の服装についてですが、バジュマラユ(マレー:Baju Melayu)という男性向けの服が、バジュクロンが売られているような場所において別々に売られています。通常、こうした衣装はクアラルンプールにおいて、街中の小さな小売店やデパートで販売されており、店員に話を伺うと背景について聞かせてもらえることが多々あります。ムスリムの男性が着ける帽子は、カタヤ(マレー:Ketayap)と呼ばれ、黒や白、グレーなど様々な色のものが見られます。これらは、モスク見学に行くと、全員ではありませんが礼拝している方が着用されております。

(⇐図8: バジュマラユの陳列の様子)

ファッションストアの方にとって、疑問に思われることについても伺ってきました。「マネキンは偶像になるため店頭に置けないのではないのか?」という問題です。これには2つの解釈があるようで、問題にある「偶像」として見なされること、商業的な必要性があることが挙げられるということです。実際に、クアラルンプールの多くのムスリム向けのファッションストアにおいて顔のないマネキンが見られます。同時に、別の店舗では日本でなじみのある顔のあるマネキンも確認できます。
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クアラルンプールにある個人経営のある店舗の商品の価格を参考までにご紹介します。
※製品群においてもアイテムごとに価格の開きは少しあります
・ヒジャブ―RM30(≒\910)
・ヒジャブ下につける被り物―RM10(≒\310)
・ヒジャブを留めるピン―RM4(≒\120)
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こうしてマレーシアにおけるファッションを見てきましたが、実際に目に触れるムスリムの方のファッションは色鮮やかなものも多くとても魅力的です。インバウンドでは、日本風の模様をあしらったヒジャブが見られるといったことは、訪日客にとってとても驚きかもしれません。また、アウトバウンドとして、日本の付加価値の高い布地をそうした服に採用してもらうことで消費者の生活を快適にするかもしれません。しかし、マーケティング活動が適切になされなければそれは夢物語になってしまうかと思います。ムスリムの方の慣習や考え、そして外的な環境に目を向け、理解していくことがトラブルを未然に防ぎ、市場に参入する大きなカギになるかと思います。



三代澤 誠


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