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成田国際空港のムスリム対応を聞く

成田空港成田空港では、訪日観光客の受入れを強化するべく、今後も大幅な増加が見込まれるムスリム(イスラム教徒)観光客の方々のためにすでに礼拝施設の機能強化や有料待合室でのハラールフード提供といった受入れ環境の整備やサービスの拡充を図っておりましたが、今後更なるムスリム受入れ環境の強化を図るとのことで、成田国際空港株式会社 阿部様へハラル・ジャパン協会の中川がインタビューをさせていただきました。





成田空港でのムスリム対応の現状


(中川)本日は成田国際空港(株)経営計画部の阿部様(以下敬称略)に、成田空港でのムスリム対応について、お話を伺いたいと思います。
さっそくですが、最近各地の空港でイスラム教徒(以下ムスリム)のお客様への対応が相次いで始まっています。成田空港での対応を教えて下さい。



第1ターミナル礼拝室。ドアは常に開き、誰でも利用できる。(阿部)現在、成田空港には世界34カ国3地域の100都市を繋ぐ、約80社の航空会社が運航しています。その中には中東やアジアなどイスラム圏からの航空会社も多数乗入れており、例えば機内食などムスリムの旅客のニーズに応じ航空会社が対応しています。また、空港の周辺には20軒以上ものホテルがあり、ムスリムのフライトクルーなども滞在することから、成田では開港時からムスリムに対応しているとも言えます。

自社としては、昨今急増するムスリムのお客様に対して、快適に利用いただく環境を整備しており、例えば礼拝室(Prayer Room)を設置するなど行っています。また直近では、ムスリムの方々への理解を空港スタッフにも拡げるためのセミナーを開催したところです。こうした取り組みはバリアフリー同様、ハードルを出来るだけなくすと言う考え方で捉えています。


(中川)空港内でのハラール食対応についてはどうお考えですか?


(阿部)昨年より、機内食ケータリング会社を通じ、有料待合室をご利用される方向けに空港内でハラール弁当のケータリングサービス(予約制)を行なっています。そして、実は6月26日に第1および第2両ターミナルビルの既存レストランを改修したハラール認証レストランがオープンします。ハラール専用キッチンを備え、ハラール認証を取得した成田空港で初となるレストランになります。




「ムスリムフレンドリー」として「できる範囲で」取り組む


(中川)礼拝室を設置した経緯を教えてください。


Narita3(阿部)初めて具体策を取ったのは2005年で、当初「Silence room」として設置しました。以前からお祈りをする場所を求めるムスリムのお客様からの要望は強かった一方、公共交通機関として求められる公共性についても配慮しなければならないなど、難しい面もありました。様々な条件をクリアする中でできる範囲で取り組んだ結果が、Silence Roomになります。
私どもとしては、このSilence Roomは祈祷以外でも使える多目的スペースとして設置したものであり、いわゆるモスクに代表される宗教施設ではありません。それゆえ、室内にはメッカの方向を示すキブラやプレイヤーマットの設置など宗教的な要素はございません。

こうした取り組みについて、当社としては先駆的に取り組んだものと自負していますが、当時は今ほどアジアからのムスリムのお客様が多くなかったことからマスコミ含め世間の反応は薄かったと記憶しています。ただし観光庁が進める外国人の受入環境の整備の点からは、ムスリムフレンドリーの考えに基づき今後必要な取組みであると認識いただいています。実際の利用については、施設の管理上利用時に解錠する方式としていたこともあり利用者は極めて限定的であったと担当から聞いています。


利用者は増え、さらなる対応を予定


(中川)礼拝室の利用者が増えたきっかけは何ですか?

(阿部)恐らく2010年頃からの中東諸国からの航空会社の乗り入れが契機かと思います。しかしながら、お客様にはSilence Roomではわかりづらく、ロビーなどで礼拝をされている方も多かったことから、よりわかりやすくするため2013年12月に名称をPrayer roomに変更し、ピクトサインも併せて設置しました。新たに水場を整備するとともに部屋を常時開放したことにより利用者は増え、今では毎日どなたかにお使いいただいています。もちろんカウンターやHP上での案内や成田空港に乗り入れている航空会社にも礼拝室の存在を告知しています。


(中川)制約の中でどのような工夫をし、どのような手応えがありましたか。

(阿部)本来礼拝室では男女別の部屋を用意することが望ましいのは知っていますが、狭隘する空港の中でまとまった空きスペースを確保できないという制約があります。そのため多くの関係者からのアドバイスなどを参考に、会社にあったパーティションを持って行って置いたところ、男女の区切り用に使われていたので、充分のようでした。
また、水がなかった所に水道を通すことからコストは増えましたが、これまではトイレの洗面台でお清めをされていたため、洗面台が汚れることもありましたがこれらも解決しました。一般のお客様にとっても利便性のプラスに繋がったと思います。

男女のスペースを区切るパーティション部屋の中に手、足、顔などを洗い清める水場を設置した。


(中川)ちょっとくだらない質問ですが(笑)、日本の他の国際空港でイスラム教徒への対応が進んでいますが、意識しますか?

(阿部)互いに意識するところはあると思います。ただ、マスコミには常に空港間競争の観点からムスリム対応に限らず国内外の空港との対決構図で語られてしまいます(笑)。私達としては各空港と連携して頻繁に情報交換などをしていますよ。


(中川)今後どのようなムスリム対応策を予定していますか。

(阿部)この7月から、第1及び第2の両ターミナルビルのパスポートコントロール(出国審査)後のエリアに礼拝室が設置されます。トランジットで空港外に出ないムスリムの方にもニーズがあるからです。また先ほどお話の通り、6月に空港内にハラール認証レストランもオープンしますので、是非PRいただき、ご利用ください。





【成田空港のムスリム対応について】
http://www.naa.jp/jp/issue/greenport/2014_02/pdf/01.pdf
http://www.naa.jp/jp/press/pdf/20140529-muslim1.pdf
http://www.naa.jp/jp/press/pdf/20131128-muslim.pdf





インタビューを終えて(中川)

公共交通機関としての立場、スペースなど多くの制約を乗り越えて、できる範囲で対応しようと始まった成田空港の対応は、利用者の満足度向上/バリアフリーという考え方のもとに工夫した対応であることがよくわかりました。日本を代表する世界の玄関口として、夏に予定されるさらなる対応策が期待されます。
阿部様、本日は本当にありがとうございました!

インタビュー日:2014年5月9日 文責:中川

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